■ 学術情報

◆ 日本ベジタリアン学会

学会誌 「ベジタリアン・リサーチ」 


◆ 21世紀はベジタリアンの時代

垣本 充
 環境情報科学 「特集/21世紀への伝言」 29-4 2000  (PDF 160KB)


◆ 狂牛病とO−157

日本ベジタリアン協会代表 垣本 充

1996年に英国で大問題になった狂牛病パニックと、同年に起きたわが国での病原性大腸菌O-157食中毒事件は、食肉の汚染という共通点を持っています。
 狂牛病パニックは、1996年3月20日、英国保健相と農業相の政府見解によって、EU(欧州連合)全域を巻き込む大事件に発展しました。人間の中枢神経が侵され、脳がスポンジ状になって痴呆化し死に至る恐ろしい病気であるクロイツフェルト・ヤコブ病の10症例が、この病気に非常によく似た狂牛病からの感染である可能性を示唆する発言をドレル保健相が行ったのです。

 狂牛病の発症は、羊のスクレイピーと呼ばれる病気から種の壁を超えて感染したという説が有力です。スクレイピーで死んだ羊の臓器や脳を粉末にして濃厚飼料として牛に与え、ウイルスよりも小さい病原体であるプリオン(自立増殖性タンパク)が牛に感染したという訳です。牧草を与えるという自然なやり方ではなく、食肉を得る効率のみを追求するあまり、羊のくず肉を飼料として与えた英国の食肉産業のあり方に疑問を感じます。

 一方、1996年5〜7月にかけて、岡山県邑久町や大阪府堺市で発生した病原性大腸菌O-157による食中毒事件は、患者数9000人を超え、死者12人という大惨事を引き起こしました。この種の食中毒では,1993年に米国西海岸で約700 人が感染、4人が死亡したハンバーガーによるO-157事件を大きく上回る数値を示しました。O-157は牛の腸に存在する大腸菌で、米国の事件ではハンバーグ用のミンチ肉を作る際に菌が混入したとされる調査結果が公表されています。わが国でも、すでに牛肉からO-157が発見されていますが、上記の食中毒の原因は、ミンチ肉か地下水などの汚染によるカイワレの2次感染かは特定されるに至りませんでした。

 国連の発表によれば、この20年で狂牛病やO-157、エイズ、エボラ熱など新たな感染症が30種も出現しているといわれます。これらの病気は、地球と共存していたウイルスや細菌が乱開発による自然破壊によって暴れ出した結果のように思えてなりません。

1999.11.東京研究会での講演より


◆ 栄養学から見た菜食メニュー


大阪信愛女学院短期大学教授 渡部由美

 菜食をするにあたり、どのような食品をどれだけ摂ればよいのでしょうか。肉や魚を食べないわけでありますから、そこから摂る栄養素を他の食品で置き換えれば問題ありません。タンパク質を多く含む大豆製品をうまく献立に組み込めばいいわけです。肉・魚100gのタンパク質量は木綿豆腐1/2丁、凍り豆腐1個、がんもどき1個、ゆで大豆カップ1/2を2種類組み合わせた量になります。また、質的にも十分整います。
 ベジタリアンは野菜を多く摂っているので、ビタミンやミネラルが不足することはありません。野菜や豆類などの植物性食品には、ガン予防に効果がある成分を含むものが多く、反対に肉食からくる動物性脂肪の摂りすぎは、動脈硬化やガンの死亡率を上げます。特に、乳ガンや大腸ガンは脂肪と関係が深いと言われています。

 日本人の脂肪摂取量は年々増え、平成6年で平均58g。推奨値は、エネルギーの20〜50%を脂肪で摂るということで、2000カロリーの人で45〜55gですから、摂りすぎの人がかなりいます。また、脂肪を構成している脂肪酸の種類のバランスが大切であるといわれています。動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸は、血中コレステロール濃度を上昇させるものが多くあります。反対に植物性脂肪に多く含まれるリノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸は血中コレステロール濃度を低下させる働きがあります。
 エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)はいずれも魚介類の脂肪酸で、心筋梗塞、動脈硬化などを予防することが明らかにされています。 DHAには記憶学習調節能や抗腫瘍効果もあります。ところが、リノール酸とリノレン酸やEPA、DHAのバランスが大切で、リノール酸の摂りすぎは、身体の免疫能を抑えて、ガン細胞の増殖を助けることがわかってきました。ですからリノール酸過剰は、コレステロールを下げてくれますが、発ガンを促進させます。そこで魚を食べないベジタリアンはどうか。私どもの調査によると、リノール酸を摂りすぎる傾向があるので、植物油脂を使う場合に工夫がいると思います。リノール酸の多い油は避けたほうがよいでしょう。
 食品というのは、単独成分でできているわけではありません。ある成分が何かの疾病予防に効果があるとわかったら、その価値だけで、私たちは動かされてしまいます。できるだけ偏りなく、色々な食品を摂ること。そして過剰は避けることです。自分の食生活を振り返ってみて、栄養的にバランスがとれているか考えてみてください。健康を考えた食事、食べ方を意識しましょう。

ベジタリアン・ジャーナル No.9 P2 (1997)より


◆ 菜食とヨーガ


B.K.ラージャ・ヨーガ・センター/森村千春

 ヨーガの見解から、菜食は人間の身体の健康や精神の健康を改善するだけでなく、世界平和への人間の深い願いを表すための、誰もができる1つの肯定的なステップであると、私たちは考えています。実際、あらゆる時代を通して、世界中の哲学者や思想家は菜食主義者でした。プラトン、アリストテレス、ガンジー、アインシュタインらです。
 菜食は気持ちを穏やかにし、明確で集中できる心の状態を作り出します。これは瞑想を行うためには大切なことです。菜食は深い気づきを与え、精神生活を向上させます。また、人間はその本来の性質からいえば、動物を殺したり、捕えて食べたりするものではありません。人間の身体の器官は、肉食動物のものとは似ていません。人間の身体を解剖学的、生物学的に見ると、果物、木の実、野菜を食べるのに適しています。私たちの歯は、骨を噛み砕いたり、肉を引き裂くような鋭いものではありません。人間の頭蓋骨についている32本の歯の中で、20本が穀物や木の実をつぶすためのものです。
 その上、人間の腸は身長の約6倍も長いので、肉をすぐに排出するのには適していません。肉は胃の中で次第に腐っていき、尿素、尿酸、アンモニアの強力な毒を発します。この毒が血液に入り、敏感な個所に炎症を起こし、リューマチ、関節炎、肝臓障害、腎臓障害を引き起こします。腎臓、肺、皮膚といった排泄機能を持った器官でさえ、体内の廃棄物を排泄するのが精一杯です。このようにして排泄器官の負担が増えるなら、排泄されるはずのものが体内に蓄積することになります。
 さらに現在では、肉には保存薬品、化学薬品、人工成長ホルモンなどが加えられています。これらは神経系統に影響を与え、新陳代謝を妨げます。肉になる動物には、これらの薬品が注射されます。それが狭い場所にぎゅうずめにされた動物の耐菌性を高め、成長を促すのです。こうした動物に対する扱いは、社会的な退化を示すものではないでしょうか。世界がどうすれば生き残っていけるかを考えるとき、将来すべての人間が菜食になる必要がある、と幾人かの科学者は言っています。
 食べ物は心に影響します。アルコールやドラッグを摂取すると精神に影響し、判断力が失われます。それと同様に、すべての食べ物は多くも少なくも影響を与えます。どの食物が自分にもっとも適しているかをチェックする必要があるでしょう。

 食物は以下のように3つに分類することができます。

サトウィック(純粋な食物)は、ヨギ(ヨーガの実践者)の食事の基礎です。果物、ほとんどの野菜、豆類、穀物、適度のハーブやスパイスはサトウィックな食物に分類されます。この中には牛乳、チーズ、ヨーグルトといった乳製品も含まれます。消化し易く、新鮮で、熟れたもの、簡単に素早く調理されたものはサトウィックです。
心に刺激を与えるものはラジャシックと呼ばれます。これは精神を刺激する食物で、控えめに摂る方が良いものです。過激なスパイス、大根類、コーヒー、コーラ、お茶、酢などはここに入ります。
心に良い影響を与えないものはタモシックと呼ばれ、避けた方がよいものです。肉、卵、魚はここに含まれます。卵は食べることによって鳥の生殖機能過程を 乱し、肉と同じように身体に影響を与えるので、純粋な食物とは考えられません。また、玉ねぎやニンニクは血液を浄化するのに役立つと言われますが、人間の感情や意識を刺激する興奮剤のような成分があるのでこの分類に入っています。アルコール、ドラッグ(麻薬)、古くなったもの、傷んだり調理してから長時間たったものもこれに入ります。
 忘れてはならないことは、料理法や食べ方にも注意が必要だということです。優しい、穏やかな状態で調理するならば、食べる者にも伝わります。高い精神を保つために、穏やかさ、優しさ、幸福という肯定的な雰囲気のもとで調理し、食べることをお勧めします。菜食を試すことで、心も身体も軽くなる状態を楽しめるでしょう。実際には、何を食べ、何を考えるかはあなた次第です。身体に取り入れられた食物は、ゆっくり、しかも着実に、あなたの思考回路を決めてゆくことでしょう。身体の健康と同時に、心の健康も選択しましょう。
 B.K.W.S.U.(ブラーマ・クマリス・ワールド・スピリチュアル・ユニバーシティ)は、1937年にインドのラジャスターン州に設立されました。現在、約80カ国に4500のセンター(B.K.ラージャ・ヨーガ・センター)があり、国連のNGO団体としても登録されています。瞑想を生活に取り入れ、肯定的な資質を養うことを誰でも学ぶことができます。

ベジタリアン・ジャーナル No.12 P3 (1999)より

 

 
HOME  |  協会概要  |  サイトマップ  |  個人情報保護方針  |  リンクポリシー  |  問合せ
2007年06月10日 10:00